薬局薬学
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薬局薬剤師による「患者への聞き取り」に基づいて実施された疑義照会の実態解明と医療安全への貢献度評価
今井 俊吾難波 正志柏木 仁佐藤 夕紀武隈 洋菅原 満
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2021 年 13 巻 1 号 p. 68-78

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抄録

薬剤師は安全な薬物療法の提供のために,患者から必要な情報を「聞き取る」ことが重要である.しかし,薬局薬剤師の「聞き取り」に対し,一部の一般市民は厳しい視線を投げかけており,患者の理解を促すためのエビデンス構築が急務である.本研究は「患者への聞き取り」に基づき実施された疑義照会に着目し,その実態解明と医療安全への貢献度評価を試みた.解析には北海道大学病院の近隣薬局の疑義照会データを用いた.その結果,聞き取りに基づく疑義照会は「薬学的疑義照会の 33.3%を占め,高い許諾割合(98.5%)を有し,用法や用量などの疑義照会分類において,医療安全への貢献度が高い」ことが見いだされた.また,このうち「医師からの説明と処方内容が食い違う」ことが発端となった事例が,特に医療安全へ貢献していることが示された.「患者への聞き取り」に基づく疑義照会の有用性を広く調査するための基礎となる知見が創出された.

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© 2021 一般社団法人 日本薬局学会
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