2018 年 32 巻 7 号 p. 782-791
【対象と方法】2009年2月~2015年3月の新潟呼吸器外科研究グループでの特発性肺線維症(IPF)合併肺癌手術例において,術後及び遠隔期の急性増悪(AE)の発生と予後を前向きに検討した.【結果】対象は48例で,男/女47/1例,平均年齢70歳.術後AEは3例(6%)に認め,その内1例が再AEで,2例が再々AEで死亡していた.単変量解析で,術後AEに対する予測因子はなく,遠隔期AEに関しては術後AE発症が予測因子であった.遠隔期AEは,平均16ヵ月で14例(29%)に発症し,8例がAEにより死亡していた.術後AE発症群と非発症群の3年全生存率(OS)は0%,70.6%で(p<0.001),遠隔期AE発症群と非発症群の3年OSは35.7%,80.3%であった(p=0.001).【結語】術後AE発症のみが遠隔期AE発症の予測因子であった.遠隔期AEを念頭に置いた注意深い経過観察が必要である.