2017 年 41 巻 3 号 p. 649-652
反復性肩関節脱臼に対する空気を用いた関節造影CTの診断能につき調査・検討した.対象は2007年1月~2016年8月に反復性肩関節脱臼に対して空気を用いた関節造影CTおよび手術を施行した86例で,透視下に両肩の造影を行ったのちCT検査を施行し,手術時に全例関節鏡にて関節内病変を確認した.86例中,造影CTでBankart病変を容易に診断できたものが67例,容易ではなかったものが12例,診断できなかったものが 7 例で,HAGL病変や関節包断裂は8例を疑い,実際に病変があったものは5例であった. CT検査を施行し,手術時に全例関節鏡にて診断できなかった7例のうち,4例はPerthes病変,1例はALPSA病変,2例で明らかな前方関節唇病変はみられなかった.HAGL病変の診断は感度100%であったが,関節包断裂は感度60%であり,Perthes病変や関節包断裂の診断能をあげる工夫が必要であると考えた.